2023年1月25日水曜日

信州のおやき

 


娘のところに行くと、毎回なにか料理のリクエストがあって、今回は「肉じゃが」と「おやき」を作ってほしいと頼まれました。H君はいつも「ポテトコロッケ(ひき肉入り)」です。

肉じゃがとコロッケはもう何十年も作り続けているから材料さえあればササッと作れるけれど、「おやき」 となるとそう簡単にはいきません。

「おやき」は長野県の人ならば誰でも知っている郷土料理で、野菜のみそ炒めや餡子などを小麦粉で作った生地で包んで焼き蒸しにしたものです。私が子供だった頃は家庭で作るのが普通でしたが、今はおやき専門店や、スーパーなどでで買うほうが一般的かもしれません。長野県内でも地域によって皮に違いがあって、パンのようにふっくらしたものや、囲炉裏の灰の中で焼いたもの、焼かずに蒸しただけのものなど、いろいろなタイプがあります。我が家のおやきは昔から焼き蒸しにしたものです。

中に詰める具もいろいろで、私が子供の頃に祖母が作っていたおやきはニラや青菜やナスや餡子がほとんどだった気がしますが、お店で買うようになってからはそこに野菜ミックス(キャベツ、にんじん、玉ねぎ)や野沢菜や切り干し大根やカボチャなどが加わりました。今はクリームチーズ入りのおやきなどもあるそうです。

うちの子供たちも昔から長野に行くと必ずおやきを食べていて、特に野菜ミックスとナスがお気に入りでした。

そんなわけで、今回、娘におやきを作ってほしいと頼まれたのだけれど、おやきは皮を作るのがヒジョーに難しいのです。おやきの皮の美味しさと、生地の扱いにくさは比例します。つまり、美味しい皮を作るには水分をたっぷり含んだベタベタな生地にしなければならないのです。私が覚えている限りでも、祖母のおやきの生地は液状といってもいいくらいに緩く、手のひらにサラダ油を塗ってから生地を載せて具を包んでいました。それを油を敷いたフライパンに即座に置いて、両面をきつね色になるまで焼いたものを蒸し器で蒸していました。(祖母は長野県出身じゃないので、それが本当のおやきの作り方だったのかどうかはわかりません。でも美味しいおやきでした)

以前、祖母の生地を真似しておやきを作ってみたことがありましたが、とてもおやきとは呼べないシロモノが出来上がって、それ以来なかなか挑戦できないでいました。でもそれはまだインターネットが普及する前のこと。今ではレシピを検索すればおやきの作り方だって簡単に探せます。そこで、ハワイに行く前にいろいろなレシピを参考にしておやきを作ってみました。

それでも、どのレシピも生地は扱いやすいけれど完成したおやきの皮がお団子のように硬いのです。そこで、液状とまではいかなくてもかなりベタベタな生地にして、打ち粉で対処することにしました。マットやめん棒にはこびりつくし、打ち粉であちこちが真っ白になるけれど、できたのですよ、薄くて柔らかい皮が…。やったー。

というわけで、ハワイでもこの生地でおやきを作りました。娘は大喜びで、8個作ったおやきを2-3日かけて大切に食べていました。

上の写真は昨日作ったものです。具は青菜(冷凍のマスタードグリーン)とネギの味噌炒め。懐かしい味がしました。写真だけ見ると、買ってきたおやきのようにも見えるぞ。


4 件のコメント:

  1. 美味しそう~! そっか、皮が難しいんですね。私はてっきり餃子の皮みたいなものかとおもったけどすごく緩いんですね。修行が要りそう。読んでいても難しそうだなーってわかります。Mちゃんがリクエストするという事はそれがおばあちゃんの家での思い出の味なんですね、きっと。。。 お味噌味ならお野菜は結構なんでもありなのかな?それとも青菜やネギ、ナスが主流?
    実はあの沖縄のサーターアンダギー(砂糖天ぷら)も形作るのたいへんなほど緩めなんです。 手のひらで丸めるのではなく、手に置いて手を握る形で絞り出す感じ。ひさしぶりに挑戦したくなりました。

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    1. 本当にこれは職人技です。最近やっと薄くてモチモチな生地が作れるようになったけれど、それまでは硬すぎてぼそぼそした食感になってしまったり、緩すぎて具が飛び出してしまったりと、失敗ばかりしていました。まぁ、これで、ここにいてもおやきが食べられるようになったので、うれしいな。手間はかかるけれど。
      野菜は伝統的なものはいくつかに限られるけれど、何でもアリです。味噌炒めや甘味噌炒めが多いけど、そうじゃないものもあるような気がします。
      サーターアンダギーの生地が緩いというのは意外です。丸めて作るのだと思っていました。ハワイでサーターアンダギーを一袋(3個)1ドルで売っているお店(屋台?)があって、行列ができていました。揚げたてで、とっても美味しかった♪ Ziggyさんはお家で作れるなんて、羨ましいなぁ。

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  2. 懐かしい!
    子供時代は夏休み中ずっと長野で過ごしていたのでお焼きや“ほうとう“が食べたくなることがあります。
    こんなに薄い生地で中身を包むとなると相当なコツがありそう。
    子供の頃におやつで食べたお焼きで好きだったのは茄子や野沢菜漬け(かな?)を炒めたものでした。
    長野といえばお焼きの他、お盆にお供えする自家製の素朴な餡子が入った蒸し饅頭も夏の思い出のひとつです。
    酒まんじゅうというのかな?
    家庭の味だったので名称は定かではありませんが、一度一緒に作っている時に叔母が生地に酢を入れていた記憶があります。
    考えてみると長野県は粉を扱う家庭の味が色々ありますね。
    Jさんのお焼きレシピを伝授していただきたいです。

    Ziggyさんのサーターアンダギーのお話にも深く頷きながら読みました。
    花のようにパカッと開いた状態で揚がり、ボソボソせず外側カリッと中身に軽さを残すのは相当な達人の技ですよね。
    お焼きにサーターアンダギー、食べたくてもアメリカでは売っていないし自分で作ってみたいものがまた増えました。

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    1. Knotrie さんもおやきをご存知でしたか!嬉しいなぁ。ナスや野沢菜漬けは定番で、私も大好きです。からし菜なら野沢菜のようになるかなと思ったのですが、ちょっと苦みがあって少し違いました。カブの葉のほうがよかったかもしれません。生地の分量は実はかなり適当で、小麦粉もカップで計っているので水分量もほどよいベタベタ感になるまで…と感覚で決めています。次に作る時は小麦粉も水もきちんと量ってレシピを作ってみますね。

      酒まんじゅうも懐かしいです。家では作っていなかったけれど、善光寺の山門前には酒まんじゅうを売っているお店がたくさんあって、寒い日に店頭で酒まんじゅうが湯気を立てて蒸しあがっているのを見ると、つい買いたくなってしまいます。あとはお祝い事などがあると、紅白の酒まんじゅうが配られたりします。

      サーターアンダギーもZiggyさんのお話を聞くと自分では作れなさそうです。それ以前に、私は揚げ物が怖くて…。コロッケはあまり油がはねないからかろうじて揚げられますが、トンカツやチキンカツ(最悪)は戦闘態勢で臨みます。(関係ない話ですみません)

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