まだ4月だというのに、ここ数日は気温が30℃近くまで上がり、すっかり初夏の陽気です。桜が終わり、ツツジやハナミズキが一斉に咲き始めたと思ったら、あっという間に花の季節が終わってしまい、今はどこも緑でいっぱいです。我が家の裏庭にももうほとんど花はないのだけれど、唯一、西洋テマリカンボク(ビバーナム・スノーボール)が真っ白な花を咲かせています。
さて、先週末、フィラデルフィア・バレエの公演「白鳥の湖」に行ってきました。昨年のアメリカン・バレエ・シアターの「ドン・キホーテ」に続く2度目のバレエ鑑賞。地元の芸術振興団体のシーズン皮切りは毎年バレエ公演のようです。昨年は2階のバルコニー席だったのだけれど、今回は1階オーケストラ席のほぼ中央。ダンサーの表情まできちんとわかる、なかなか良い席でした。
「白鳥の湖」はやはりバレエの王道ですね。これまでは有名な踊り、例えば四羽の白鳥や黒鳥のヴァリエーションなどは、部分的に動画などで見たことがあったけれど、目の前で全幕を通してみると、やはりそのストーリー性や優雅さが何倍にもなって伝わってくるように感じました。フィラデルフィア・バレエには伊勢田由香さんという日本人のプリンシパル・ダンサーがいらして、今回はハンガリー王女(Hungarian
Princess)の役にお名前が載っていました。
毎日毎日銃乱射だなんだと聞こえてくる世知辛い世の中でも、たまにこうして美しいものに触れると、心が洗われる気分になりますね。
そして翌日、髪を切りました。それもセルフカットで…。
日本からここに戻ってきて約1年半の間、私の髪は伸び放題でした。こちらに来る直前にある程度短くカットしては来たものの、あれから約20㎝は伸びているわけで、髪の量も多いから後ろで結ぶ以外にどうすることもできません。美容院に行けばいいじゃない…と思われるかもしれませんが、ここはアメリカ。どんな悲惨な結果になることか。特に私のような多毛、剛毛、くせ毛の三拍子がそろった髪はなおさら。ニューヨークやLAのような大都会なら日本人の美容師さんもたくさんいるのでしょうが、ここは日本人も少ない田舎町です。
ある時、娘に電話をしたら、「今、自分で髪を切っているから、後でかけ直す」と言われ、後で送られてきた動画を見ると、ロングだった髪がミディアムぐらいに短くなって、レイヤーが入っていました。セルフカットとはわからないくらいに上手に切れています。髪質はずいぶん違うけれど、これなら私にもできるかも…と思い、ハサミとすきバサミが入ったヘアカット用のキットをアマゾンで購入し、セルフカットのありとあらゆる動画を見て、いざセルフカットに挑んだのでした。
まぁ、初めてだから、肩ぐらいまでのボブにして…と髪を縦にブロック分けにして、同じ長さのところで全体を切ったのです。案の上、髪は真っすぐには切れなかったけれど、表面の髪だけ残して、中はすきバサミで大胆にすきました。表面の髪を下ろしてみると、あれれ、すいた髪がずいぶん短くなっていて、表面の髪の下に短い髪が透けて見えます。これはヘンだな、と表面の髪を中の長さに合わせて切ると、今度は市松人形の髪のように横に広がってしまいました。また中をすいて、長さを合わせようとすると、これがなかなかうまくいかず、髪はどんどん、どんどん、短くなっていきます。とうとう収拾がつかなくなって、ひゃー、どうしよう…ということになった時に、「キル・スイッチ」を導入することにしました。最悪の場合、少量ずつ髪を拳で掴んで、トップに出た部分を切るという方法です。セイム・レイヤー(どこも同じ長さだからレイヤーになる)というのだそうですが、女性でもベリーショートとして街に出られる限界のカットということでした。
そうするべく、いざ、と髪を掴んだら、トップから出ている髪がずいぶん長いのです。セイムレイヤーということであれば、必ずしも拳の長さじゃなくてもいいんじゃない?と思い、まず、すべての髪を15㎝ぐらいで切ってみました。横と後ろはすでにかなり短くなっていたのでそのままにして、あとは表面以外をテキトーにすいて軽くしました。すると、わぉ、今どきのショートヘアの出来上がり。直毛じゃないから、毛先があちこちにカールしたり跳ねたりしているのもカットの欠点をかなりカバーしていると思うのだけれど、ひとまず外に出られる髪型になりました。やれやれ。かかった時間は6時間。
こんなに短くするつもりじゃなかったけれど、アメリカでショートにできたのは嬉しいな。うちの男衆、特に息子が私の髪型をからかわないということは、まずまず見られるということなのでしょう。日本にいた頃はずっとショートだったから、見慣れているということもあるだろうけれど。私のショートヘアを初めて見たSちゃんはかなり驚いて、「Jさんがショートにしたこと忘れていて、会うたびにびっくりしちゃいます」と今でも言っています。