到着日は3人とも朝が早かった(H君は夜行便)こともあり、究極に疲れていたので、ホテルのレストランで簡単に夕食を済ませて、夜の9時前には寝てしまいました。
滞在したホテルはコンデサというちょっとお洒落な地区にあり、ホテル自体もモダンかつメキシコシティ特有のカラフルさを基調としたインテリアで、ヒップスター御用達という感じでした。部屋にはなぜかレコードプレーヤーが置かれていて、LP盤が2枚用意されていました。一枚はメキシコ音楽のレコードでしたが、もう一枚がなんとエコバニ(Echo & the Bunnymen)だったという…。あれー、これは我が家のどこかにもあるんじゃないかなー。40年近い時を経て(恐ろしや)、こんなヒップなホテルに置かれているということは、私のテイストも捨てたものじゃないじゃない!? H君が面白半分にレコードをかけたので、♪The killing moon~♪と私が口ずさむと、H君は「え?この曲、知ってるの?(What?You know this song?)」と驚いているので、ふふん、とふんぞり返って、「もちろん!」と答えたのでした。伊達に長生きしてません。まぁ、どうでもいいことなんだけど、エコバニのレコードを見てちょっと興奮しちゃいました。
さて、2日目はさっそく娘がメキシコ・シティーで一番行きたかった場所に向かいました。メキシコ・シティーと言ったら、やっぱりフリーダ・カーロです。彼女が実際に住んでいた家が博物館になっているので、コヨアカンという街に出かけました。と、ところが、入場券はすでに数日先まで売り切れというではないですか。なんということでしょう。せっかくここまで来て、中に入れないとは…。まるでバチカン美術館の悪夢の再来(日曜日は閉館で入場できなかったのでした)。
入れないものはしょうがない、と気を取り直して、コヨアカンの街並みを散策することに。コヨアカンってどこかで聞いたことのある名前だなぁ、アステカの本に出てきたんだったかなぁ、と思い、ホテルに戻ってからKindle版の本の中で「Coyoacan」を検索すると、コルテス率いるスペインの侵略者たちが最初に入居した土地がコヨアカンだったという文章が出てきました。なるほど、街の中心部には大きな教会があり、まわりの建物もスペイン風で、ヨーロッパの街を歩いているような錯覚を起こします。コヨアカンとはアステカの言葉、ナワトル語で「コヨーテのいる場所」という意味なのだそうで、公園の噴水には2匹のコヨーテの像が。フリーダもこの辺りを歩いたりしていたのかもしれませんね。
そしてこのコヨワカンには大きな市場がありました。野菜や魚介類やお肉などの生鮮食品はもとより、織物やガイコツの置物やメキシコの特産品などが所狭しと並べられています。飲食店もたくさんあって、私たちはトスターダ(パリパリに焼いたコーントルティアに様々な具材をのせたもの、好みのソースをかけて食べる)をランチに食べました。メキシコで食べたお料理全般に言えることなのだけれど、何を食べても塩加減が絶妙で、しょっぱすぎるということがないのです。アメリカで外食をすると、何でも塩分が濃すぎて、素材の味が全然しないんですよねぇ。メキシコの食文化は、私が経験した限りでは、アメリカとは比べ物にならないくらい優れていました。
コヨアカンを後にして、フリーダ・カーロと彼女の夫で画家でもあったディエゴ・リヴェラの共同スタジオ(アトリエ)に行ってみることにしました。こちらはUberで移動。この辺りもまたお洒落な街並みでした。
後日出かけた別の美術館の写真展で、フリーダ・カーロがこのサボテンの前に立っている写真を見ました。
夜は覆面プロレスとやらを見にいくというので、市の中心部に移動しました。なんでまた覆面プロレスなんて、と思ったのだけれど、メキシコ・シティーの名物エンターテイメントなんだそうです。
まだ少し時間があったので、その前にあたりを散策しました。ここはアステカの首都、テノチティトランの中心地で、もともとはアステカの神殿などがあった場所です。スペイン人の侵略でアステカの建造物はすべて取り壊され、跡地に修道院やスペイン風の建物が建てられたといいます。近年はアステカの神殿の一部の発掘が行われているようですが、スペインの建造物もすでに歴史の一部となっている今、アステカの神殿の完全復元はできないでしょうね。
(発掘中の遺跡)
そして、覆面プロレス。案内されたのはなんとリングサイドの最前列。私はプロレスに興味もなければ、テレビで見ることもないのだけれど、せっかく来たのだし、もうこんな機会は二度とないかもしれないから、楽しむことにしました。なかなか迫力がありましたよ。リング上からレスラーが次々と落とされて、私たちの席の方になだれ込んできたり、女性レスラーが目の前を通って入場したり…。私一人だったらプロレスを見ようなんて思いもしなかっただろうけれど、こういうのも旅の面白さなのかもしれませんね。