2024年3月14日木曜日

メキシコ・シティー 4日目

4日目は、メキシコ・シティーから車で1時間から1時間半ほど離れた場所にあるテオティワカン遺跡を訪れました。娘がツアーを申し込んでいたそうで、早朝5時にホテル近くの集合場所に向かいました。1時間ぐらいしか離れていないのに、なぜまだ暗い早朝に出発するのかと不思議に思っていたら、娘が「朝陽が昇るのを見るためなんじゃない!?」というので納得。テオティワカン遺跡には太陽の神殿と月の神殿というふたつのピラミッドがあるのです。その背景に朝陽が昇るのだとしたら、見応えがあるでしょうねぇ。

テオティワカン文明は、アステカ文明を開いたメシーカ(Mexica)族が北部から現在のメキシコ・シティーにやってくる以前に栄えた文明で、謎が多く、ある時忽然と消えてしまったのだそうです。最盛期には遠くマヤやサポテカなどとも交流があり、多大な影響力を持っていたと考えられています。この文明の本当の名前は不明で、メシーカ族が廃墟となった遺跡を見て、テオティワカン(神のいるところ)と呼んだことから今もそう呼ばれているそうです。

様々なホテルから集まってきた10人ほどのツアー客を乗せたライトバンは真っ暗な高速道路を進み、空が少し白みかけた頃に目的地に着きました。車から降りると、遠くにうっすらとピラミッドの影が見えます。日中は20℃以上になる気温も、朝は5℃くらいの寒さで、薄手のダウンジャケットを着てきて正解でした。納屋のような小屋の中にはすでに何十人ものツアー客がいて、チェックインが始まっていました。名前や緊急連絡先や身分証明書の提示などを求められて、遺跡の見学なのにずいぶん慎重だなとは思ったのだけれど、私たちが外国人だからだろうとあまり気にもしていませんでした。小屋の中では温かいコーヒーや紅茶、お菓子、果物などが振る舞われ、建物の前の道路に白いライトバンがいくつも集まってきたので、それに乗って遺跡に行くのを待っているのだろうと思っていたのです。外が少しずつ明るくなってきて、前の広場の奥の方でなにかがモクモクと膨らんでいる様子が見えました。よく見ると、気球です。小屋の中のテレビ画面に気球やハングライダーの映像が映っていたから、ふーん、そういうツアーもあるんだ、と思って見ていました。そのうちにあっちでもこっちでも気球が膨らみ始めて、お手洗いから戻ってきた娘に、「見て、気球が膨らんでるよ」と言うと、娘は「ホントだ、写真撮って来る」と外に行ってしまいました。


 

しばらくするとグループごとに名前が呼ばれたので、それぞれにライトバンに乗り込んで遺跡に行くのだと思ったら、 車の横を通り抜けてどんどんと広場のほうに案内されました。「気球を見せてくれるのかな」と能天気に娘に話しかけると、娘はふふふと意味ありげに笑って、「これに乗るんだよ」と言います。私への誕生日プレゼントだそうです。え”え”ー。ちょ、ちょっと待って、これ、ホントに安全なの?ゴーゴーと火を噴いてますよ。空中で燃えちゃったりしないよね。木のカゴだよ。いろんなことが脳裏に渦巻いて、ちょっと足がすくみました。本当にこれに乗るの?

 

気球の準備ができて、カゴに乗り込み、いざ出発。ふわっと浮き上がって、ゆっくりスイスイと地表から離れていきます。すでに何十個もの気球が空に舞い上がっていて、それはそれは圧巻な眺めでした。朝陽はすでに昇っていたけれど、地表から上る朝靄が幻想的です。気球は比較的低い位置で移動していましたが、ピラミッドが近づくとその斜面を登るようにどんどん上昇していきました。月の神殿から「死者の道」(大通り)の上を移動し、太陽の神殿を越えてゆっくりゆっくり下降してサボテン畑の真ん中に着陸しました。実際に気球に乗っていたのがどのくらいの時間だったのか、もしかしたら30分程度だったのかもしれないけれど、時間が止まったように長い時間ふわふわと空に漂っていた気がしてしまいます。これもまた、私一人だったら気球に乗ろうなんて考えもしなかっただろうから、娘とH君に感謝しなければ。思い出に残る貴重な体験になりました。







最後は無事に着陸したことを祝って(!!!)、みんなでシャンパンで乾杯。 広大なサボテン畑の真ん中にお迎えのライトバンが到着して、また納屋のような小屋に戻り、裏にあるスペイン風のコートヤードでマリアッチのおもてなしと共に簡単な朝食をいただきました。


 

続いて、またライトバンに乗り込み、今度こそテオティワカン遺跡へ。ここでは有料ガイド付きのオプショナルツアーか、個人で行動するか、の選択肢があり、ガイドのおじさんが面白い人だったのでツアーに付いて行くことにしました。おそらく私たちだけで遺跡を見ても、「わぁ、大きいね、すごいね」ぐらいしか感じようがなかったんじゃないかと思いますが、ガイドのおじさんがとても丁寧に説明してくれたおかげで遺跡の歴史や背景がわかり、近くにある古代の神秘的な洞窟にも案内してもらったほか、お土産屋さんではテキーラやアガベの甘いお酒(ちょっと梅酒のような)などのテイスティングも用意されていました。お土産屋さんではいろいろと勧められるのかと思っていたら、そんなこともなく、遺跡での2時間ほどの滞在時間をたいへん有意義に過ごすことができました。

 

もう3週間以上も前の出来事なのに、なんだかまだ夢の中にいるような感じがします。

2 件のコメント:

  1. > Jさん、
    不覚にも風邪をひいてしまいダウンしていました。。。
    旅行4日目、素敵な一日だったようですね~。お天気にも恵まれてまるでポストカード使われる風景写真!
    ホットエアバルーンのフェスティバルは毎年ここ、ベガスでも そしてPhoenixでも行われて、似たような風景が見られます。乗ったことはないけど、見るのは好き。下から見てるのとどんどん高く上がってみる光景はまた全然違った物なんでしょうね。
    色とりどりのバルーンが空に浮かんでいるのをみるのは花火と似たようなものがあります。 あの有名なPyramid of the Sun も上から眺める事ができたんだね。 それは滅多にできない経験! Teotihuacanまで観光できて かなり充実した旅行プラン。。。さすがMちゃん!

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    1. わぁ、大変。風邪はもう大丈夫?今の季節は気温が不安定だったりして風邪を引きやすいかもしれないね。ぶり返すといけないから、無理しないでね。
      さすがベガス、ホットエアバルーンのフェスティバルがあるんだね。私はあんなにたくさんの気球を見たのは初めてで、感動しました。あんなに素敵な光景を毎年見られるなんて、いいなぁ。乗るのはちょっと怖かったけど。先日もどこかで気球の事故があったとニュースで見たけれど、まさにそんな光景を想像してしまって、不安でした。でも上からの眺めは最高でしたよ。

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