食事もシンガポールでの楽しみのひとつです。シンガポールはアジアのメルティングポットと呼んでもよいくらい多様な民族と文化が融合していて、それは食文化にも反映しています。
最初に泊まっていたホテルの近くにあったお店で食べたワンタン麺。タイ風ということで好みでナンプラーやチリソースを入れるとのこと。私はあっさり味が好きなので、そのまま食べました。麺に青菜が入っているとは知らず、青菜の炒め物まで注文してしまいましたが、野菜が食べたかったので二人ですっかりたいらげました。
リトル・インディアでのランチは、ビリヤーニ、パラク・パニール(ほうれん草とパニールのカレー)、ゴビ・パコラ(カリフラワーのフライ)。大きなお皿の上にはバナナの葉が敷いてあり、各自お料理を取り分けて食べます。本当は手で(厳密には右手で)食べるのが正しいのでしょうが、観光客が多いこのお店ではカトラリーが最初から置かれていました。
今でこそビリヤーニは日本でも人気ですが、何年か前に日本でビリヤーニが食べられるお店を検索したら、 横浜あたりでは一軒ぐらいしかなかったように思います。こちらのインド料理店でずいぶん前にビリヤーニを食べて以来、大好きなお料理です。でも、このリトルインディアで食べたビリヤーニはもっと本格的で、付け合わせの赤タマネギのヨーグルト和えがビリヤーニの辛さにマッチして本当に美味しかった。そしてカリフラワーもフライなのにまったく重くなく、いくらでも食べられちゃいそうな美味しさでした。
こちらはどこかのフードコートで食べた、なんとか麺。マレーシアのペナン島発祥の麺というようなことがお店の看板に書いてあったのだけれど、麺の名前を失念しました。最近、歳のせいなのか、外食をすると何でもしょっぱく感じるのだけど、この麺のスープは薄味で美味しかった。
そしてこちらは、鼎泰豊(ディンタイフォン)。言わずと知れた小籠包で有名な台湾発祥のお店ですが、今回、鼎泰豊に出かけたのは、有名だからではなく、思い出があるからです。
20年前にシンガポールを訪れたときは、オーチャード通りのホテルに泊まっていて、ある日、夫と息子がホテルのプールに行っている間に、私と娘は近くに散策に出かけたのでした。といってもオーチャード通りは日本の銀座のような場所で、ウインドウショッピングぐらいしかすることはありません。そうしてふらっと入ったショッピングセンターの中に、ガラス張りの厨房が丸見えで、調理師が餃子やシュウマイのようなものを一つ一つ手作りしている姿や蒸籠からもくもくと蒸気が上がっている様子が通路から見えるお店があったのです。平日の午後でショッピングセンターにもそのお店にも人は少なく、 ぽつぽつと座っているお客さんのテーブルには何段にも重なった蒸籠が置かれています。それを見て、ちょっと入ってみようか、ということになったのでした。
メニューを見て、あれもこれも食べたくなり、小籠包や蒸し餃子や雲吞や中華まんなどを注文して、$20ぐらいで二人でお腹がいっぱいになるほど飲茶を満喫しました。美味しさはもちろんだけれど、その安さにも感動しました。
その時に鼎泰豊というお店の名前は覚えたのだけれど、有名なお店だったとは露知らず。しばらくして、英字新聞だったか、英語の記事だったかで、ニューヨークでも話題のDin Tai Fungというお店のことを知ったのでした。
それから20年が経ち、あの時の感動をもう一度!と出かけたものの、今や鼎泰豊はありとあらゆるショッピングセンターの中にあり、どこも行列ができるほどの人気です。本当は以前行ったお店に行きたかったのだけれど、ホテルから少し遠かったので、もっと近いお店にしました。そこも待ち時間が40分。モールの中をふらふらして時間を潰し、戻ってきて通された席は隅っこの二人掛けテーブル。この混みようだから仕方がありません。いろいろ注文してもテーブルに乗りきらない!でも味は確かでした。うん、美味しかった。前回と同じくらい食べたと思うのだけれど、お会計は…4倍以上でした。とほほ。
今となっては、20年前の思い出をそのままにしておきたかった、と思ったりして。
ホテルの朝食もバラエティー豊かなお料理がたくさん。卵やソーセージやパンやクロワッサン、シリアル、ヨーグルトなどのよくある欧米系の朝食に加えて、中華料理、インド料理、アラブ料理なども所狭しと並んでいます。ヌードル・バー(というのかな?)ではお好みの具材と麺の種類、スープを選ぶと、目の前でそれを調理して器に盛ってくれて、最後は好みのトッピングを自分で載せるというシステムでした。これが結構人気で、みなさん朝から麺を食べていました。数日泊ったので、今日は中華、今日はインド料理、と日替わりでいただきました。
こちらはカヤ・トースト。カヤとは、パンダンという植物の葉で風味をつけたカスタードクリームのようなものですが、牛乳ではなくココナツミルクを使っているのだと思います。そのカヤとバターを、トーストしたパンにはさんだものがカヤ・トーストです。このトーストを、一緒についてくる半熟玉子にディップして食べるのが正しい食べ方なのだそうです。玉子にお醤油を少し垂らすので、甘さやしょっぱさやいろいろな味がします。カヤは以前娘がお土産として買ってきてくれたことがあって、トーストに塗って食べたりしたことはあったけれど、こういう食べ方があったとは知らなかったなぁ。
また、この時に飲んだミルクティーが濃厚でとっても美味しかったのです。つい先日、ミルクティーとロイヤルミルクティーの違いというのを知ったのですが、これはまさにロイヤルミルクティーでした。シンガポールにはTWGという有名なお茶屋さんがあって、そこで幾つか紅茶や烏龍茶を買ってきました。その中にミルク烏龍茶というのがあって、これはミルクが入っているわけではなく、発酵する過程で自然にミルクのような香りを発するようになるのだそうです。ちょっと面白いお茶です。
最後は海南鶏飯。海南チキン(Hainanese chicken rice)ともシンガポールチキンライスとも呼ばれる、シンガポールではホーカーセンターやフードコートなどには必ずあって大人気のお料理です。なんとワタクシ、初めて食べました。
シンガポールはあちこちにホーカーセンターと呼ばれる屋台や小店が並んだ大型フードコートのような場所があるのだけれど、注文するのをちょっと躊躇するような、衛生的にどうなのかな、というところも無きにしも非ず。地元の人たちはそういう場所で美味しそうに食べているし、実際にとても美味しそうなんです。私は胃腸は結構強い方だから余程のことがない限り大丈夫だと思うのだけれど、夫などはお腹が弱いうえに、食べる前からイメージだけでお腹が痛くなっちゃうタイプです。
今回娘が連れていってくれたホーカーセンターはなかなか小ぎれいな場所でしたが、お客さんの大半は観光客でした。観光客相手のお店というのはどうなんでしょうね。 今回食べた海南鶏飯は、ご飯にも鶏の味がよく染みていてとても美味しかったけれど、初めて食べるので他と比較しようがありません。次は地元の人たちが食べている海南鶏飯にチャレンジしてみましょうか。